『平成30年度 ひたかみ水の里 子どもサミット』

 先に石巻市で行われた『平成30年度 ひたかみ水の里 子どもサミット』に校長が参加。柴田小学校の今年度の実践を,映像を交え紹介しました。
 講評の中で,豊かな自然に恵まれた柴田の町で,自然に触れ,ふるさとの良さを自身の体で体験することはとてもすばらしいこと。子どもたちの好奇心に満ちた生き生きとした表情もいい・・
というお話しをいただきました。
 尚,四月に発行される実践報告集[柴田小の事例も紹介]の巻頭のあいさつを校長が寄稿しました。

 平成30年度 ひたかみ水の里 実践報告集 発刊に寄せて
柴田町立柴田小学校 校長 坂本忠厚(元 石巻市教育委員会 勤務)
 
 本年度の,ひたかみ水の里の一年間の活動報告書が発刊されますことを心からお慶び申し上げるとともに、長きに渡って地域に根ざしながら活動を継続されてきたことに深く敬意を表します。
 毎年の発刊までのご苦労は、私たちの想像以上のものとは思いますが,昨年度までの成果と課題を生かし,年々充実した活動になっていること,それが「子どもサミット」という子ども自身の発表の場と,実践報告集という形でまとめ,発信していることは素晴らしいことです。体験活動は,ともすると実施することが目的となってしまいがちになる中,常に,「こなす」だけでなく、『創造』を合言葉に実践を積み重ねているこの事業は,他の団体の範となり,学ぶべきところも多々あります。
 体験活動の実施に当たっては,安全管理はもちろんのこと,クリアーすべき課題が数多くあるものの,地道で丁寧な対応の積み重ねで多くの実績をあげてきました。これは,代表の新井偉夫氏の私利私欲を超えた熱い理念『自然の中で学んだことは必ず生きる力につながる』という揺るぎないものに支えられていると考えます。
 私自身は新井さんより,石巻市教育委員会勤務時代に,「子どもの活動を補佐するジュニア・リーダーこそ自ら自然を体験すべき」という助言をいただき,初級研修会のプログラムに、北上川でのカヌー体験,小島での鷺の巣の観察などを盛り込みました。中・高校生の目の色が変わったのは言うまでもありません。
 また,学校現場に戻ってからも,東松島市立大曲小学校四年生での定川でのカヌー体験,柴田町立柴田小学校では、阿武隈川でのカヌー体験,生き物観察,プールでのカヌー体験を実施していただきました。早朝から石巻より遠路多くのスタッフとともにカヌーを積んでの訪問に頭の下がる思いで感謝を口にすると,あの独特の柔和な口調で「なぬー。いいんだ。気をつかわねくて。オラ,こどもだづがよろごんで自然や古里をすぎになってもらえばいいんだがら・・・」と笑います。また,国土交通省と連携しての七ヶ宿ダムからの阿武隈川河口までの川下りなども,きめ細やかな配慮で実現の援助をしていただきました。
 多くの実践の中で、特筆すべきは,東日本大震災の年の夏,あえて被災地の海で子どもたちにカヌーを体験させたことと思います。反対・非難覚悟で,“生まれ育った古里の海でもう一度楽しい体験をさせてあげたい”という強い思いで実施しました。その経緯については,『波を乗り越えて・カヌーにかける熱い想い』という物語風の教材にまとめ,冊子や紙芝居にして全国の多くの方に読んでもらっています。
 先日,富山県南砺市立井口小学校の5・6年複式担任の佐々木 暁先生から,実際に授業をしてみた感想をいただきました。(同校は,全校児童40名足らず。一昨年の日本教育弘済会教育論文で最優秀賞を受賞。【児童の「才能の最大化」を引き出す学校経営の可能性】というテーマ。前 山下 透 校長の下,圧倒的な学力をつける。困難をプレゼント。下級生を上級生のライバルに・・と小規模校で教育の可能性に挑んだ学校である。私も、足を運んでみたが,生き生きと学ぶ姿は、新井さんの思いと相通じるものがあるように思えました。
 最後に,佐々木先生の感想の一部を紹介します。
・・・「波を乗り越えて・カヌーにかける熱い想い」は胸に響くすばらしい教材です。私は富山県の道徳部会の研究専門委員を8年務めさせていただきました。しかし、これ程までに熱い想いのこもった教材にはなかなか出会ったことはありません。ひたかみ水の里の新井偉夫さんに対する坂本先生の心の動かし方がまさに教材だと感じました。子どもたちに読んで聞かせたところ,5・6年生は普段よりも口数は少ない子どもも真剣に考えておりました。沈黙に大きな意味のある授業でした。これだけの教材を前にすると、発問に固執することなく、一番心に響いたことを訥々と語り、それを聴き入る授業の方がよいのではないかとすら感じました。・・・・。

平成31年度の「ひたかみ水の里」の更なる活動の充実を期待いたします。

2019年03月16日(土) No.459 (未分類)

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