柔らかな光が地上に降り注ぎ、日に日に日差しの暖かさが増し、春の息吹がひしひしと感じられる今日この頃。これまでに誰しもが経験したことのない自然の災禍から、６年の歳月が流れました。今日旅立つ卒業生は、平成２３年３月⒒日の東日本大震災後、この東北の地が混乱の最中、幼い心に不安を抱え、校門をくぐり、入学してきたのです。そして、小学校の入り口で松永秀子先生に出会い、また出口となる今日の卒業式で松永秀子先生のもとから旅立つのです。
さて、この子どもたち９名の卒業生を祝福する平成二八年度卒業式を執り行うことにあたり、柴田町町長 滝口 茂（しげる）様、柴田町議会副議長 �盒供，燭せ厖佑呂犬瓠∨楾擦龍軌蕕里燭瓩砲柑抉腓鬚い燭世い討�ります多数のご来賓の方々のご臨席と、保護者の皆様のご列席をいただき、平成二十八年度柴田町立柴田小学校第五十九回の卒業式を挙行できますこと、卒業生はもとより、職員一同喜びに絶えません。心より感謝と御礼を申し上げます。
さて、卒業生の皆さん、ただ今渡しました卒業証書は、六カ年にわたる小学校のすべての課程が終わったというしるしと、皆さんの母校となる伝統ある柴田小学校の卒業生であるという証明書です。今、自分の手にしっかりと握られている「卒業証書」。あらためて「卒業証書」のもつその重みを感じているのではないでしょうか。
皆さんは、この一年、最高学年としての自覚を持ち、常に後輩たちの模範となってすばらしい学校づくりに努力してくれました。縦割り活動や各委員会活動でのリーダーシップの発揮。さらに、休み時間は最上級生として、全学年で遊ぶ姿も見られ、日常の学校生活の随所に最高学年の誇りと自信に満ちた活動ぶりを見ることができました。
この一年を振り返ってみると、あなた方がまた一つ新しい伝統を作りました。新幹線と在来線で行った修学旅行、陶芸家の太田さんご夫婦に教わりながら作った卒業制作、柴田小の代表として臨んだ第２回みやぎジュニア玉入れ選手権大会。奇跡の逆転優勝を果たし、チームワークのよさとここ一番での精神力の強さ、一人一人の態度が皆様から賞賛されました。一月にあった子ども議会では、「柴田小学校・西住小学校６年生子ども議会〜花のまち柴田 咲かせよう笑顔の花」がテーマでした。柴田小学校からは、３人の児童が町長さんに質問しました。「農村環境改善センターをよりよい施設にするために」「安全・安心なまちづくり」「柴田小学校の自然の有効活用」について質問しました。いずれも町長さんが丁寧に答弁してくれました。地域の課題を考え、そこから自分たちなりのアイディアを言葉にして発言したことは、下級生のよい手本となり、新しい伝統として、また、校風として受け継がれると同時に、皆さん自身が、こうした学校生活を土台として大きく成長したことを証明しております。
このようにすばらしい活躍をしてきたあなた方にとって、小学校の学業を終えるといった人生に一度しかない「卒業式」を栄えあるものにしてあげたいという思いは、私だけでなく今日ここに集まってくださったすべての大人の人の思いでもあります。親と子、教師と児童といった「縦の関係」と、子ども同士の「横の関係」に加え、子どもたちに直接・間接に関わってくださった地域の方々との「ナナメの関係」が、皆さんを成長させました。あらためて地域の皆様方の子どもたちを取り囲む温かさに感謝するとともに、今後とも御支援を賜りますようお願いを申し上げます。
さて、卒業生の皆さんには、校長より次のメッセージを送ります。
昨今、日本でも「いじめ問題」が毎日のように新聞に載っています。皆さんもＮＩＥの学習を通じて、多くのいじめの記事を読んだり、見たりしたことと思います。実際にいじめによって命を落とす子どももいます。残念でなりません。人は、人から必要とされることで、生きていく目的を見つけることができます。なぜなら、人間は、他からの信頼を必要とする存在だからです。人から受けた思いやりの温かさが、前に進むときの立ち向かう力となるのです。目の前の壁にぶつかったとき、最後の最後は、自分の力で壁を越えなければならないのです。ですから、お互いに「がんばって」という言葉をかけることができる人間になってほしいと思います。
二つ目は、卒業文集にも書きましたが、人生には、ドアがたくさんあります。ドアの後ろには何があるか分かりません。それが怖いと思うかもしれませんが、好奇心を持って、好きなドアを開けてみてください。素敵なことがドアの後ろにあるかもしれません。ドアの後ろに嫌なことがあったら、一歩下がって、そのドアを閉めてもいいのです。ぜひいろいろなドアを開ける勇気をもってほしいと思います。未知の世界に出て行くとき、人は誰しも不安を持つものです。しかし、未知の世界であっても夢や希望があれば、その怖さを克服し、一歩踏み出すことができるのです。希望は、今日よりも明日をよい日にすると信じて、その可能性を信じ、自分でできることから一歩踏み出すことで実現します。そして、希望を実現するためには、人と人とのつながりが重要であることを忘れてはいけません。自分以外の人を大切にする人は、いつかどこかで自分が困ったとき、必ず、周りの人があなたを助けてくれます。
最後に、一つの言葉を紹介します。それは、「雨だれ 石をもうがつ」という言葉です。「雨だれ」は、屋根などから落ちてくる雨の粒のことです。「うがつ」とは穴を開けるという意味です。雨だれはとても弱いもので、石に落ちると、砕けて散ってしまいます。しかし、その雨だれが何年も何年も、同じところに落ち続けると、固い石にも穴があいてしまうというのです。従って、「雨だれ 石をもうがつ」とは、諦めずに一つのことを続けることで、どんな物事も成就（じょうじゅ）させることができる。いろいろな障害に遭ったり、迷ったりすることもあるかもしれないが、それを我慢して、一つのことに集中し、辛抱強く努力を続けることが大切であるということを言っているのです。
最後になりましたが、保護者の皆様にお祝い申し上げます。お子様のご卒業おめでとうございます。東日本大震災から６年の月日が経過した本日の卒業式。凜とした姿勢でしっかりと前を見据えている子どもたちの後ろ姿に、これまで守り育ててきた十二年という年月の思いと、これからの未来を託す思いが重なり合っていることと思います。
本校では、六年間、お子様の健やかな成長を願い、真剣に教え育てました。今度は、中学校の教育方針をしっかり受け止め、頑張ってくれることを確信しています。これまでお寄せいただいたご厚情に感謝し、お子様のご成長とご多幸を祈って止みません。
それでは、卒業生の皆さん、新しい世界、自分で描いた的を目指して、一直線に進んでいってください。
卒業は、必然となる柴田小学校との別れです。あなた方の人生に幸多からんことを願います。
以上をもちまして、式辞といたします。
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2017年03月21日（火）
No.17
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